グルコサミンと膝関節痛対策の       おはなし

 

登山時、特に下りの時などに膝が痛くなるという方が多くいらっしゃるようです。弊社では定期的に登山セミナーを開催しておりますが、その時に多くの方から膝関節痛に関するご相談をいただきます。せっかくの楽しい登山も、膝関節が気になってはその楽しみも半減してしまいます。では、そもそもなぜ膝関節痛が起こるのでしょうか? また、それを改善するためにはどのようにすればよいのでしょうか? そのメカニズムをお話しながら、その対策を考えてみたいと思います。

 

下りでは登りの2倍の衝撃がかかります。
登りでは体重とほぼ同じくらいの力が緩やかにかかります。これに対し、下りでは登りの2倍、つまり体重の2倍もの力が着地した瞬間に一気にかかってしまいます。ザックを背負っていれば当然、さらに大きな衝撃がかかることになります。足を捻挫した時に階段の上り下りをしてみると、痛みの違いをいやというほど感じるはずです。登り、下りにおける衝撃力を平地での運動に例えるとすれば、登りは歩きに、下りはジョギングに匹敵するといわれています。それだけ、下りにおける負担は大きいのです。

なぜ膝関節痛が起こるのでしょうか?
膝関節痛は長年にわたる足腰の酷使や加齢とともに起こりやすいといわれています。軟骨成分は膝関節の動きを滑らかにするクッションの役目をしており、非常に大切な部分です。筋肉の場合は鍛えれば強化されますが、軟骨成分の場合は足腰を使うほど、磨り減ってしまいます。膝関節にある軟骨成分が磨り減ると、骨と骨が動くたびに擦れて痛むようになります。また、磨り減った軟骨成分が磨耗物質となって関節の中に散らばっていき、関節の内側の滑膜を刺激するため、それを取り除こうとする分解酵素が滑膜にも刺激を与えて痛みを生じ、さらに腫れたり、熱をもったり、水がたまるなどの症状を起こす場合があります。

医療における治療方法とは?
では、医療においてはどのような治療が行われているのでしょうか? 医療では鎮痛剤や抗炎症剤などの内服液、ステロイド剤やヒアルロン酸などを関節の中に注入する関節内注射、患部の切除や人工関節にするなどの外科手術。さらに運動療法、器具療法、理学療法などがあります。また、手軽な治療方法として遠赤外線を患部に当てる方法もとられます。しかしながら、これらの療法は一時的に痛みや炎症をやわらげるだけで、根本的に回復させるものではないといわれています。逆に、治療方法によっては軟骨や骨の破壊を早めたり、副作用を生じるなど、その問題点を指摘する専門家もいるようです。やはり、膝関節痛のケアや予防には体内から根本的に改善していくことが望ましく、そのためには軟骨の改善が必要不可欠です。

グルコサミンが膝関節痛のケアや予防に有効です。
グルコサミンは軟骨成分であるプロテオグリカンや関節液のヒアルロン酸の原料となり、また軟骨成分の合成を助ける作用があります。グルコサミンはアミノ糖といわれる物質の一種で、主にエビ、カニの殻からつくられます。若い時は食物から体内で十分にグルコサミンを生成することができるのですが、加齢とともに、その生成能力が低下してしまいます。また、グルコサミンはもともと食物に微量しか含まれていないため、中高年の方が食物だけで十分な量を得るのは難しいといわれています。やはり、サプリメントからグルコサミンを摂るのが効果的なようです。サプリメントの先進国、アメリカでは保健衛生研究所(NIH)が中心となり、10年以上も前からその研究が行われてきました。そして、最近ではその有効性に関する検証データが多く発表されています。また、最近よく耳にするコンドロイチンについてですが、コンドロイチンには関節部分の水分保持のはたらきがあります。グルコサミンはコンドロイチンの構成要素でもあり、体内に入ったグルコサミンはガラクトサミンに変換されて、コンドロイチンにもなるといわれています。

グルコサミンをどのように摂ればよいのでしょうか?
グルコサミンの摂取方法についてですが、3〜4時間程度の登山の場合は前日夜に2カプセル、当日朝に2カプセルをめやすとして下さい。4時間以上の場合は前日夜に2カプセル、当日朝、昼、夜に2カプセルずつをめやすとして下さい。摂取のタイミングについてはあまり神経質になる必要はありませんが、通常は食前あるいは食後におのみいただければよいと思います。またその時の登山コースや気象条件、ご自身の体調によっても状況は異なります。登山中であっても「少しきついなぁ」と感じた時はその場ですぐに追加摂取されることをお勧め致します。薬品と違い食品ですので、副作用の心配はありません。「体が必要としている栄養素をその時に補給する」という感覚で摂取されるとよいと思います。また、膝関節を根本的に改善するために、ふだんから毎日グルコサミンを摂取することをお勧めします。その時は朝夜1〜2カプセルずつをおのみになるとよいでしょう。

下りでの膝への負担を軽くする登山方法とは?
ここでは下りでの膝の負担を軽くする登山方法について考えてみたいと思います。登山において「大腿四頭筋」は非常に大切な筋肉です。筋肉疲労や膝関節痛とも関係が深いといわれております。膝に負担がかかれば、筋肉疲労、筋肉痙攣を起こしやすくなり、また大腿四頭筋が疲れてくると、膝関節痛も起こりやすくなるようです。そのためには、大腿四頭筋にストレスをかけない歩き方が必要です。そのためにはどうすればよいのでしょうか?
(1)歩行技術
同じ下りでも膝のクッションを使うか使わないかで、衝撃力は大きく違ってきます。ベテランの方の下り方を見ると、膝を柔らかく使って着地衝撃を上手に吸収しています。「山を歩く時は猫のように歩け」ともいわれています。また、歩幅を狭くして、ゆっくり歩くことも重要です。30cmの段差があった時、これを一歩で下ってしまうよりも、15cmずつ2回に分けて下った方が衝撃力は小さくなります。
(2)ストックの利用
ストックを使って着地衝撃を腕にも分散させると、脚への衝撃力を小さくすることができます。ストックは膝への負担を軽減する上で有効なツールですが、ストックをついて膝の負担が軽くなった分だけ、腕の負担が増すことにも注意が必要です。従って、ストックの効果を最大限に引き出すためにはふだんから腕力を鍛えておくことも必要です。
(3)ザックを軽くする
30cmの段差を下った時には、脚に体重の2倍もの衝撃力がかかります。これと同じ理由で下りでは、背負っているザックから受ける衝撃力も2倍になります。つまり、10kgのザックは20kgに、20kgのザックは40kgの負担になります。ですから、無駄な荷物は省いて、できるだけ荷物を軽くする必要があります。
(4)自分の体重も軽くする
ザックだけでなく自分の体重も軽いに越したことはありません。また、体重が重くなると体重の支持能力が低下するため、下りで転倒しやすくなるといわれています。
(5)下りの緩いコースを選ぶ
下山路が急だと膝への負担も大きくなります。登山スケジュールを立てる上で、なるべく緩い下り坂をもつコースを選ぶことも大切です。

最後に
「下りは登りよりも難しい」といわれます。それだけに、下りにおいては十分な準備や対策が必要となります。日頃のトレーニング、正しい歩行方法、ストックの利用、荷物の軽量化、無理のない計画。そしてサプリメントの効果的なご利用で、いつまでも健康で快適な登山をお楽しみください。

 

                            

 

 

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