塩分の摂りすぎは血圧を上げるのでしょうか?

                            厚生労働省所管 輸入食品衛生管理者    

                            ユーマックス 代表取締役       湯谷 睦

 

なぜ、塩分の摂りすぎが血圧をあげるのでしょうか?


現在、日本人が1日に食べている塩は平均で13gといわれています。厚生労働省、国民栄養調査の最新の報告によると、年齢層が高い人ほど、塩を多くとっています。50代、40代で何と14g以上。厚生労働省では、塩の摂取を1日10g以下に押さえるように勧めています。アメリカではさらに少ない6g以下を勧めています。塩が血圧を上げる理由として、いくつかのことが挙げられています。その一つは、細胞は細胞膜を通して、外から分子を取り入れたり、出したりしています。その運搬は浸透圧で行われ、細胞外液の濃度が濃くなれば細胞内から外へ、細胞内液が濃くなると、外から細胞内へというように行われます。この細胞外液にはナトリウムが多く、細胞内液にはカリウムが多く含まれています。細胞の内外の濃度差は、常に一定に保たれるようになっています。ところが、細胞内のナトリウムが多くなり過ぎると、その濃度を調整するため、ナトリウムが水分を引き寄せることになります。そのため、血管の細胞が膨らんでしまい、血管が細くなり血圧が上がるというものです。さらに、塩が交感神経を刺激し、ホルモンなどの働きで血管が収縮するため、血圧がますます上昇するといわれています。

 

では、減塩で血圧が下がるのでしょうか?


食べた塩のナトリウムは、血液を通じて、腎臓に運ばれ、身体に必要な分のナトリウムをより分け、多い分は排出します。この塩をより分ける能力を食塩感受性といいます。この能力が低い人は、塩に敏感に反応し、どんどん身体にとり入れてしまうため、塩をとりすぎれば血圧が高くなってしまいます。反対にこの能力が高く、塩を身体に蓄積せずにどんどん排出してしまう人がいます。後者のタイプは、血圧は高くても体内の塩分蓄積は低かったため減塩しても、効果はあまりなかったと考えられます。日本人にはこの能力の低い人が40%、高い人が60%程といわれています。しかしながら、この食塩感受性の高い人でも、長い間、塩をたくさんとり続けると、塩に敏感なタイプに変わることもあるといわれています。
また、塩のとり過ぎは胃壁を荒らし、胃がんになりやすくなるなど、体にさまざまな悪影響をもたらすので、1日10g、できれば6gに押さえたいところです。

 

高血圧の自覚症状はあるのでしょうか?


ふつう、高血圧があっても初期は無症状で、高血圧が長い間持続していても症状がないといわれています。多くの症状は高血圧そのものによるものより、高血圧による臓器の障害、合併症などによるものです。このことは、早期に高血圧を発見して臓器の障害を予防すりことが重要で、自覚症状が出てからでは遅いといわれています。多くの調査でも、高血圧の人の半数は自分が高血圧であることを知らないとういう報告がされています。
それだけに、ふだんからの高血圧予防のための意識と正しい食生活が望まれるところです。

 

 

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