傷の手当と止血の仕方について

                               日本赤十字社救急員、川崎体育救護クラブ会員   

                                ユーマックス 代表取締役       湯谷 睦

 

傷の種類について。


傷は大きく分けて皮膚の粘膜が壊れている開放性傷と、非開放性傷に分けることが出来ます。開放性傷の主なものには切り傷、刺し傷、すり傷などがあります。非開放性傷の主なものには軽度の熱傷、凍傷、打撲、捻挫、骨折があります。刺し傷は、傷口は小さくても深く奥まで達していることがあり感染に注意が必要です。また、すり傷は皮膚をこすった傷で出血があり、傷の範囲が広く感染を起こしやすくなっています。

 

傷には適切な手当てが必要です。


傷は出血、痛み、細菌感染を引き起こすために、その手当ては非常に大切です。手当てをする時の基本的な注意事項は次の点です。


1) 傷の手当てをする時は必ず手を洗う。可能であれば手を消毒した上で手当てを行う。
(2) 傷口にできた血塊は自然に血液が固まって止血したものなので、むやみに取り除かない。
(3) 細かい繊維が傷口に残らぬよう、綿やちり紙を直接傷口に乗せない。
(4) 傷病者の血液で手が汚れた時は、出来るだけ早く流水で手を洗う。
(5) 自分の手に傷のある時は、素手で傷病者の血液に触れないように注する。
(6) 傷病者を安静にして、全体の状況をよくみて、保温や体温に注意をする。

 

止血の仕方について。


人間の全血液量は体重1kgあたり約80mlで、一時にその三分の一を失うと生命に危険が生じます。出血には動脈からの出血と静脈からの出血があります。傷からの出血は直ちに止血しなくてはなりません。ここで、一般的な止血方法を記述しますが、実際に実践してみないと、なかなかわからないものです。止血は非常に大切であるため、止血の仕方をご存知ない方は、一度専門家の指導を受けると良いでしょう。コツさえ掴めば、意外と早く習得できるものです。


(1) 直接圧迫止血
傷口の上をガーゼやハンカチで直接押えて、しばらく圧迫する。この方法が基本的で確実な方法である。


2)関節圧迫止血
傷口よりも心臓に近い動脈を手や指で圧迫して血液の流れを止める。


3)直接圧迫止血と関節圧迫止血の併用
 直接圧迫止血だけで出血を押えられない時は、さらに間接的圧迫止血を加えて行う。
直接圧迫止血をすぐに行えない場合には、まず間接圧迫を行う。


(4)止血
上肢、下肢の出血で、直接圧迫、間接圧迫、あるいは両者の併用でも出血がひどくて止まらない場合、あるいは、運搬に際して止血体を用いなければ止血できない場合に限り用いる。けっして、安易に用いてはならない。

 

 

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