40歳を越えると体力に個人差が生じます

                               日本赤十字社救急員、川崎体育救護クラブ会員   

                                ユーマックス 代表取締役       湯谷 睦

 

歳をともに体力が低下します。


歳をとるにつれて、どうしても反射神経が鈍くなったり筋力が弱って、いざという時に踏ん張りがきかなくなってしまいます。これは防衛体力が低下するからだといわれています。たとえば歳をとると、心臓の能力が低下したり、血圧が上がりやすくなるため、激しい運動に耐えられなくなったりします。また暑さや寒さに対する体温調節機能が低くなったりします。疲労しやすく回復に時間がかかり、内臓も弱くなります。骨がもろくなったり膝や腰の関節が弱くなる等、多くの個所に問題が生じるようになります。20歳の男性の体力を100とした場合、60歳で次のように低下するという報告があります。


・ 眼をつぶっての片足立ち---約30%に低下
・ 脚の筋肉---約50%に低下
・ 腕立て伏せ---約40%に低下
・ 垂直跳び---約60%に低下
・ 最大酸素摂取量---約50%に低下


気力のある人は“自分はまだまだ若い者に負けない”という思いが強いものです。しかし、それは思い込みに過ぎないことが多く、それがかえってトラブルを発生させる原因になる場合も少なくないようです。中高年の事故で目立つものに転倒による骨折があります。中高年では骨の密度が低下し、もろくなっており、特に閉経後の女性ではホルモンの関係で急激に骨が弱くなるといわれています。そのため、ちょっとした転倒による衝撃でも、簡単骨が折れてしまうというトラブルが多く発生しているようです。

 

 

循環器の変化にも注意です。


年使ってきた身体のそれぞれの器官に衰えが見えてきます。足腰の衰えは日頃のトレーニングである程度までカバーすることが可能ですが、心臓の具合が悪くなっては一大事です。歳をとるにつれて血管はもろくなってきますが、これにより生ずる動脈硬化が問題です。日頃から正しい食生活や運動が程度動脈硬化予防に必要不可欠であるいわれています。中高年登山者が安全にスポーツを楽しむためには、自分の身体の状態をよく知って、それなりの対策を講じておくことが大切です。
すなわち、日頃の身体のチェック、トレーニング、食生活、休息、いざという時の対策をしっかり行っておくことです。

 

40歳を越えると体力の個人差が生じます。


若い人の間でも体力差がありますが、40歳を超えるとそれは比較にならないほど大きな体力差があるようです。例えば、50歳の人でも、駅の階段を登るのにも苦痛だという人もいれば、8000kmの山にも無酸素で登れるという人もいるくらいです。すなわち、若い頃からトレーニングや身体のケアをしっかり行ってきた人は、それにあった健康体を維持しているといえます。従って、中高年の場合、自分と同じ年代の人がやっているからといって、自分にも同じことが出来ると考えるのは大変危険なことです。自分の体力や身体について正確に知り、それにあった運動やケアが必要になってきます。

 

 

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