脱水症状に注意しましょう!

                               日本赤十字社救急員、川崎体育救護クラブ会員   

                                ユーマックス 代表取締役       湯谷 睦

 

脱水症状とはどういうものでしょうか?


人間の身体の三分の二が水分で成り立っています。この水分は老廃物を身体の外に出したり、栄養分を身体の各部位に運ぶ働きがあります。そして、体温調節という非常に大切な役割ももっています。成人男性の場合、体内の水分が汗や呼気によって1日に約800ml、尿や便や呼吸によって約600mlが外に出るといわれています。例えば登山の場合は運動量が多く大量に汗をかくために、水分の排出は非常に多くなりますが、この発汗作用は体温を一定に保つためにも重要です。体内の水分が少なくなると、この体温調節のこと以外にも困ったことが起こります。大量の汗とともに、カリウムやナトリウムが排出されて、体内の電解質のバランスが壊れてしまいます。その結果、筋肉痙攣や体調不良を引き起こしますこのような時に水を飲まないと、血液に粘りが出て血液の循環が悪くなり,心臓に負担がかかります。これは脳卒中や心筋梗塞を引き起こしやすくなります。さらに、水分の補給をしないと、体温の調節が利かなくなり、熱中症起こすこともあります。血液の循環が悪くなり、疲れやすくなり、持久力も減退します。
脱水が進むと、それ以上の水を体内から失うまいとして、尿を減少させるホルモンが出てきます。このホルモンはいったん出始めると、運動をやめてからも12〜48時間で出続けるといわれています。このため、運動後も1〜2日の間は、飲んだ水はあまり排出されず、体内に蓄積されてしまいます。登山後に手足がむくむ人は、登山中の脱水の反動を受けている場合も考えられます。また、このむくみは肝臓に負担が生じたときに起こる場合もあるので、両面からチェックしてみる必要があるようです。

 

どれくらい水を飲めばよいのでしょうか?


脱水による障害を防ぐには、運動中に失われたと同じ量の水分を補給すればよいといわれています。研究報告によると登山の場合、体重Xkgの人がY時間登山をした場合、脱水量は5g×Xkg×Y時間とのデータがあります。すなわち、体重60kgの人が7時間登山をすると、5g×60kg×7時間=2100gの脱水が起こる計算になります。だから、2100gの水を飲めばよいことになります。
水は重いので、たくさん持っていくことをためらう人が多いようですが、安全で快適な登山を行うためには、いかに水が大切かがわかります。脱水量と同量とはいかないまでも、少なくても脱水量が体重の2%以下にとどまるように、水を飲むこと努力が必要です。脱水量が体重の2%以下にとどまるように飲むためには、Xkgの人がY時間登山をした時に、飲水量は5g×Xkg×Y時間−20Xkgとの計算式があります。すなわち、体重60kgの人が7時間登山をすると、5g×60kg×7時間―20×60kg=900gとなります。これを裏返すと、どんなことがあっても、最低900gの水は飲まなければいけないということになります。尚、水分補給は暑い夏山ばかりだけでなく冬山や高所など、あまり汗のかかない山でも重要です。

 

では、どう飲めばよいでしょうか?


ふだんよりはるかに多量の水を飲まなければならないが、たくさんの水を一気に飲むと胃にもたれ、ばてやすくなります。飲む回数を多くして、少しずつ飲むとよいといわれています。暑い時期は最低、1時間に1回は水分補給をし、出来れば30分おきに飲んでもよいでしょう。

 

 

ホームページ