アミノ酸のおはなし

 

最近、「アミノ酸配合」という表示を見ることが多くなりました。またアミノ酸について、その効果をテレビ番組等がとりあげることが多くなったせいか、かなりの方がアミノ酸を知るようになりました。しかし、アミノ酸とはそもそもどういうものなのでしょうか? また、どのように体によく、どういう時にどのくらい摂ればよいのでしょうか?

 

アミノ酸ってなあに?
人の体の約60%は水分で、残りの約半分はたんぱく質からできています。人のたんぱく質を構成している最小単位がアミノ酸なのです。肝臓、腎臓などの臓器、消化器、血中のヘモグロビン、免疫抗体、酵素、髪、皮膚を初め、登山をする人にとって大切な筋肉、骨、血液、腱、靭帯などもアミノ酸でつくられており、いわば、人の体はアミノ酸の結合体ともいえるのです。では私たちはアミノ酸をどのように摂っているのでしょうか? 人がアミノ酸の塊であるたんぱく質を摂取するのは、通常食事からです。消化する過程で、1つ1つのアミノ酸に分解、そして体内に吸収されていきます。そして、意外なことに生命体を作り上げるアミノ酸はたった20種類しかありません。その20種類のアミノ酸が組み合わさり、人の体を作り、またさまざまな生理機能をつかさどるのです。
  
たんぱく質を構成するアミノ酸
それでは、その20種アミノ酸とはどうようなものでしょうか? 
それらはバリン、スレオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、リジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、ヒスチジン、グルタミン酸、アラニン、グリシン、プロリン、アスパラギン、セリン、アスパラギン酸、チロシン、グルタミン、シスチン、アルギニンです。この中で最初から9番目までのアミノ酸が体内では合成することのできない「必須アミノ酸」とよばれるものです。そして、これらアミノ酸はそれぞれの生理機能をもっています。ある生理機能に合わせたアミノ酸だけを摂取すると、特別にその機能をアップさせられるという理論が成立するのです。

アミノ酸の6つの機能
各アミノ酸は大きく以下の6つの機能に分類されます。
 1. 筋線維修復アミノ酸 たんぱく質の代謝を促し、破壊された筋線維の修復と筋力アップをします。
 2. 体力アップアミノ酸 乳酸の発生を最小限に抑え、スタミナを持続させます。
 3. 脂肪燃焼アミノ酸  脂肪燃焼を促すリパーゼを活性化させ脂肪燃焼を促進します。
 4. スキンケアアミノ酸 コラーゲンの原料となり、新陳代謝を活発にして肌の再生を促進します。
 5. 集中力アップアミノ酸 脳疲労を軽くし、頭をすっきりさせて集中力をアップさせます。
 6. 免疫力アップアミノ酸 免疫細胞を活性化し、さまざまな病原菌に対する免疫力をアップさせます。
                                               
では、登山をする上でどういう機能が特に必要なのでしょうか?
登山は他のスポーツとは異なる独自の運動であるといわれています。瞬発力はあまり必要とされませんが、持久力は必要とされます。また、登山は代表的な有酸素運動でもあります。登山者に多くみられるトラブルに筋肉痛や頭が「ぼーっ」となることがあげられています。また、ウェイトオーバーも登山では大敵です。さらに最近は女性の登山者を中心に、日光紫外線による肌の炎症、肌荒れ、シミ、シワなどの発生が大きな問題となっています。他の競技スポーツやアスレチックスポーツと違い、体力アップをめざすよりは、いかに今の体力を維持し、筋肉痛の起こらない、またすっきりした頭の状態で登山をするかの方が重要であると思われます。また、紫外線によるスキンケア対策も重要です。従って、私たち登山者にとっては、アミノ酸の中でも筋線維アミノ酸、脂肪燃焼アミノ酸、スキンケアアミノ酸そして集中力アップアミノ酸が重要なのではないでしょうか?

筋線維修復のメカニズム
では、なぜアミノ酸は筋線維の修復に必要なのでしょうか?
登山中に筋肉は酷使されます。筋肉は元来、ごく細い筋線維でできており、強い運動を繰り返すと、この筋線維が何千本と切れてしまいます。しかし、私たちの体には切れた筋線維を数時間後に修復させるというメカニズムがあります。この時、筋肉の原材料であるアミノ酸が十分に行き届いていれば、筋線維は切られる前の約20%アップの強さでつながってくれます。こうしてつながった筋線維はその後切れにくくなり、強い運動をすると今度は他の筋線維が切れ・・・と、その繰り返しになり、筋肉全体が強くなっていくわけです。しかし、体内に筋肉の原材料であるアミノ酸が不足していると、筋肉が作られないばかりか、筋肉痛の原因になってしまいます。つまり、筋線維の修復時に必要な原料をいかにタイミングよく筋肉に届けるかが重要なポイントになります。この筋線維修復に重要な役割を果たすのが、グリシン、チロシン、アルギニン(筋線維修復アミノ酸)といわれています。

肌再生のメカニズム
健康な肌は網目のように張り巡らされているコラーゲン層によって、弾力が保たれています。しかし、コラーゲンが十分に行き渡らない状態になってしまうと、肌の老化現象を招いてしまいます。このコラーゲンの主原料がプロリン、アラニン、グリシン、スレオニンです。これらのアミノ酸を全細胞に運ぶ上で重要な役割を果たすのが、細胞マトリックスとよばれるものです。運ばれたアミノ酸はそこでコラーゲンへと変化します。細胞膜の外にあるコラーゲン層に送られると、今度は新しい肌を作り始めるのです。しかし、20才を過ぎるあたりから、細胞マトリックスの機能は低下し、また紫外線によってさらにその老化を早めてしまいます。その結果、新しいコラーゲンの生成力が衰え、肌が老化した状態に陥ります。しかし、最近の研究でこれらのアミノ酸が細胞マトリックスの再生に役立つことがわかりました。またもう一つのスキンケアアミノ酸であるシスチンには別の働きがあります。人の肌は紫外線を浴びると、DNAが傷つくのを防ぐためメラニンが生成されます。ところが、紫外線を受けすぎると、それを作るメラノサイトが暴走し、メラニンを過剰にし、シミを発生させていまいます。この事態に歯止めをかけるのが、シスチンです。さらに、最近の遺伝子レベルの研究で、シスチンには紫外線による肌の炎症反応をくいとめ、活性酸素の発生を抑える作用のあることがわかってきました。

では登山において、どんなアミノ酸を、いつ、どのくらい摂ればいいのでしょうか?
すっきりした頭で、筋肉疲労を感じずに登山を楽しむためには、筋線維修復に有効なグリシン、チロシン、アルギニン、集中力を高めるグルタミン酸を多く摂ることが必要です。そして、脂肪燃焼アミノ酸、体力アップアミノ酸も必要です。アミノ酸は単体で摂るよりも、多くのアミノ酸をバランスよく摂ることで、各効果が促進されます。摂取タイミングは、例えば登山時間3〜4時間の場合、前日夜1000mg、当日朝1000mg ( アミノ20の場合、各2カプセルずつ)を食事時に摂ってください。あとは、その時のコース状況や体調に合わせて調整すればよいと思います。また、紫外線による日焼け、肌荒れ、シミ対策としては、コラーゲンの主原料となるアラニン、プロリン、グリシン、スレオニン、肌の新陳代謝を高めるアルギニン、リジン、紫外線による活性酸素の発生を抑えるシスチンが配合されたものを摂るとよいでしょう。摂取タイミング、摂取量は筋肉疲労対策のアミノ酸と同じですが、筋肉疲労と違い、紫外線による皮膚への影響は時間をかけて進行しますので、日頃からスキンケアアミノ酸を毎日摂り続けた方が効果的と思われます。ここで、お気づきのことと思いますが、アミノ20に配合されているグリシン、アルギニンは筋線維修復アミノ酸であるとともに、スキンケアアミノ酸であることがわかります。1つのアミノ酸でも複数の機能を持っているものがあります。ただ、アミノ酸の使われ方には優先順位があって、運動によりグリシン、アルギニンは真っ先に筋線維修復に使われてしまい、肌再生機能としてはあまり期待できません。それに対し、アミノクリアーはスキンケアアミノ酸だけを集中して配合しています。また、アミノ20ではごく少量しか配合されていない、肌再生に重要な働きをするシスチンを多く配合しています。21世紀は「アミノ酸の時代」といわれています。どうかこれらのアミノ酸効果を上手に利用して、安全で快適な登山に役立ててください。

 

                            

 

 

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