安全登山 Q&A

       安全登山の基本について 

                                  日本山岳ガイド連盟認定ガイド 三島 健悦

 

 

Q1.どのようなことを基本的に行ったらよいのでしょうか?

 

■登山口で
衣類の調整やウォーミングアップで歩き始める準備を

●20分程の準備時間を取り、その間にパッキングの調整、靴紐の締め直し、気温に合わせたウェアの調整をする。
●また、ストレッチ・準備体操をし体の筋肉をほぐす。

■歩行
重心移動と無理のない歩幅、靴底全体でしっかり地面をとらえる

●足を踏み出すとき、1歩1歩に体の重心を移していく感覚を持つ。
●歩幅は普段の街中歩行より狭くし、体の置き方は靴底全体で地面をフラットにとらえる。
●歩行は静加重、静移動を心がける。

■急坂や段差
急坂では逆ハの字や斜登行、段差では無理せず小刻みに

●急坂ではまず呼吸の楽な速度に抑える。
●足運びは、逆ハの字につま先を開くと斜面に対して踏ん張りがききやすくなる。また斜登行で小刻みに細かいスタンスを拾って登っていけば、直登・大きな段差を登るよりはずいぶん楽である。

■ストック
ストックを上手に活用すれば、バランス保持や歩行の推進力に

●ストックは活用しだいでは、歩行のリズム、バランス、推進力を得るのに有効である。
●ストックは歩行のバランス、推進力という点では両手に持つダブルストックが有効。
●ストックの長さの基本は斜面に合わせて、肘が直角になる程度の長さに。また、下りでは登りより長めにし、ストックを上手に使い膝への負担を少なくする。

■休憩
適度に休憩をはさみ、体力の急激な消耗を防ぐ

●60分の歩行に対し5~10分程度の休憩を入れます。
●急登であれば、途中30分程度で呼吸を整える1~2分の立ち休憩を入れます。

■記録・コース確認
休憩時には記録やコース確認、次の行動に向けた準備を
●休憩はそれまでの行動で疲れた体を休ませると同時に、次の行動に向けた準備を整えることが必要。特に不必要な汗をかかないようウェアのこまめの調整を。

■行動食・飲物
こまめにカロリーと水分の補給をする

●行動食はドライフルーツ、ナッツ、チョコレート、ゼリーなど、栄養分やカロリーを厳密に考えるよりは口に運びやすい食品が良い。
●水分は水そのものよりもスポーツドリンク、アミノ酸ドリンクがおすすめ。

■パーティ行動
リーダーを信頼し息を合わせて行動する

●ガイドはパーティの状況を把握して指示を出しています。メンバー全員で励まし合い 
 ながら、よりよい山行にしましょう。

■岩場
岩場は3点支持が基本、怖がらず姿勢を起こし手足のスタンスを見ましょう

●岩場では両手両足の4点が岩をとらえた状態から、いずれか1点だけを動かす。残り3
 点はつねに手がかり、足がかりを得ている。これが基本の3点支持である。

■クサリ場・ハシゴ
クサリはあくまでも補助、ハシゴは基本の3点支持で

●クサリにあまり頼らずに、基本的には3点支持で登下降する。
●ハシゴでも岩場と同じように、3点支持を守る。

■道標
道標やマーキングもコース確認手段のひとつ、ただし地図と併用しよう

●人出の多いコースには、登山口や分岐など、要所に道標が設けられている。その他に、岩に丸印や矢印がペイントされていたり、樹木には赤布がついていることもある。
●基本は地図とコンパス、そして道標・マーキングを確認することである。要は併用すること。

Q2.日頃からどのようなトレーニングをしたらよいのでしょうか?

 

■日常のトレーニング
いつも少し意識して体を動かすように心がけましょう。
●エレベーターやエスカレーターに乗らずに階段を昇り降りする。
●少し長めの距離を歩くようにする。たとえば目的の駅より手前で電車を下り歩く。その際はストライドを大きめに取り上半身の動きを入れてテンポよく歩くことによって心拍数を高めることが出来ます。

■自宅でのトレーニング
下りでいつもひざがわらってしまう、下りが苦手な方は大腿四頭筋が弱っています。ご自宅トレーニングをしましょう。
●スクワット
足を肩幅ぐらいにし、手は頭の後ろで組んだり、腰に当てたりし脚を曲げる。最初は浅くし楽になったら深くするようにする。
週2回程度、10回セットを3回行う。簡単にできるようになったら30回まで回数を増やす。
●カーフレイズ
敷居のような場所につま先で立ち、足を上下させる。
週2回程度、10回セットを3回行う。30回まで増加は可能。
●時間に余裕があったら上半身の筋肉と下半身の筋肉のバランスを保つために、腹筋、 
 背筋もスクワットと同じぐらいの回数でトレーニングしましょう。

■山歩きに勝るトレーニングはなし
トレーニングの苦手な方は低山でもどんどん山に行きましょう。

Q3.登山計画を作る上でどういうことに気をつけたらよいでしょうか?

 

無理のない計画を、これが一番
まず、ご自身の体力に合った山・コースを選びます。地図のコースタイムは中高年を標準にしていないものもあります。そのままのコースタイムで計画を立てると、ただ歩くだけでせっかくの山も楽しめません。だいたい2割増ぐらいで設定すれば余裕ができて楽になります。その日の宿泊地などには午後3時前には到着するようにしましょう。

 

 

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