安全登山 Q&A

         用具、ウェアについて 

                                     日本山岳ガイド連盟認定ガイド 三島 健悦

 

Q1.どのようなシューズを選べば良いのですか?

 

まず、安全で快適な登山・トレッキングのために、目的や場所に合ったシューズを選びましょう。種類として次の3種類があります。


●ライトトレッキングブーツ

春から秋にかけての低山ハイキングから、荷の少ない山小屋1~2泊までのクラスです。表面はナイロン素材が中心で、全体的に柔らかい構造をしており、足になじみやすく軽快さに富んでいます。

●ミッドトレッキングブーツ
無雪期の低山ハイキングから、3,000m級の縦走まで適応するクラスです。
表面は天然皮革やゴアテックス素材を使用し、ライトトレッキングブーツに比べ足を保護する機能や耐久性に優れます。
まず、購入するならこのタイプのゴアテックス素材を使用したブーツを選びましょう。

●オールラウンドブーツ
通常、登山靴といえばこのクラスを指し、登攀など特殊な山行形態を除いて無雪期から積雪期までオールラウンドに対応します。

次に、適切なサイズと自分の足型にフィットするシューズを選びましょう。


@ソックスは春から秋にかけては、薄手のクールマックスなどの速乾性のあるものの上に中厚手~厚手のものを重ねることが多いですが、最近の靴は中のクッションが良いので薄手〜中厚手のソックスでも十分です。購入の際は実際に使用するソックスで試足しましょう。
Aつま先側まで足を入れ、足首の後に指1本分程度のゆとりのあるもの。
B靴紐を締め、足の甲があたらないか。
C同様に足指の付け根があたらないか。
D最後に両足とも試足し、少し歩いてみたり、階段や斜面を登り降りしてフィット感を具体的に確認しましょう。

山では靴紐の締め方を登り下りで変えましょう。
@シューズに足を入れたら、極端に足を締めつけない程度に、甲の立ちあがり部分をしっかりと締める。
Aフック状の金具には、靴紐を上から下へと回して通すと歩行中は緩みにくくなります。
B最上段は、登りではやや余裕を、下りではややきつめに。これらの調整は履きながら慣れていきましょう。

Q2.どのようなザックを選べば良いのですか?

 

■ザック選びは目的に応じた容量がポイントです。


●20L~30L 日帰りハイキングや山小屋ベースに日帰りで頂上往復するときなどに適した小型ザック。軽量で機能もシンプルなものが多い。
●35L~40L 日帰りから山小屋1~3泊程度と、日常的な登山で最も汎用性が高い中型ザック。機能的に充実したザックが多く、最初に選ぶならこのクラスが良い。

■体形に合ったザックを選ぶコツとよりフィット感を高めるザックの背負い方


●体形には個人差があるため、選ぶザックもまず自分の体形に合うかどうかが大切。さらにベルト類を適正に調整することで、バランスよく疲れにくくザックを背負うことができます。
@ザックを担ぐとき、また降ろすときはショルダーベルトの付け根の取っ手を持つとショルダーベルトに過度の負担がかからない。
A背負う前にはベルト類を少し緩めておきましょう。
B両肩に背負ったら、ウェストベルト(パット)を締める。パットは腰骨の突起を包む位置にくれば適性。そうでなければザックの背面の長さが長いか短いかどちらかです。
C次に脇の下のショルダーベルトの調整をする。
D肩の上のトップベルトがピンと張る程度まで引く。この時にショルダーベルトと肩の間に不自然なすきまが出来る場合は、体形にザックが合っていないことが多い。
E最後にチェストベルトを止める。脇の下の高さが適性。

Q3.ウェアは何をどのように着たらいいのでしょうか?

 

レインウェア編

■レインウェアの標準は防水と同時に内側のムレを発散させるゴアテックス等の防水透湿素材で運動性にすぐれた上下セパレート形が基本。


●高機能レインウェア素材は多くは3層からなり、中間にゴアテックスなどの防水透湿素材がラミネートされている。水滴の侵入しやすい縫い目にはシームテープで防水加工がされている。
●コンパクトに収納できるのもポイント。天気の変わりやすい山では、つねにザックに入れて予期せぬ雨に備えましょう。

 

ウェア編

■山歩きのウェアの基本は吸水透湿、防水性、保温性素材を組み合わせた玉ねぎの皮のようなレイヤード・システム(重ね着)です。


どんなクオリティの高い素材でも、組み合わせを間違えると機能を低下させるばかりか、安全行動の妨げとなります。
外側からアウター(上着)、ミドル(中間着)、インナー(下着)をうまく組み合わせることが大切です。特に春から秋にかけてはインナーが重要です。
●インナー(下着)

春から夏にかけてはインナーとしてはTシャツ等を使用することが多いでしょう。このTシャツもダクロンQD、クールマックス等をお勧めします。これらの素材は綿の5倍の吸水性と3.5倍の速乾性を持っており、汗で体を冷やすことがなく快適です。
タイツはこれらの吸水速乾機能(クールマックス)にサポーター機能を持ったワコールCWX9分丈がお勧め。特に下りで膝がガクガクする方には膝をしっかりサポートしてくれるのでありがたい製品です。
●ミドル(中間着) 長袖シャツ、ストレッチパンツ
シャツは保温性、速乾性の高い高機能素材(ダクロン等)が良いでしょう。パンツはストレッチ素材が良いでしょう。
●アウター
夏はアウターを着て歩くことはあまりありませんが、朝晩は冷え込みますので必ず1 着は持ちましょう。軽くて暖かい保温性の良いフリースジャケットが良いでしょう。製品としてはポーラテック200素材かゴアテックスウィンドストッパーのフリースをお勧めします。風が強い時、雨の時はゴアテックスの雨具を着れば完璧です。

 

 

.

ホームページ